日本書紀の概要
書記の概要
編年=720年   編者=舎人親王   構成=全30巻、系図1巻

日本書紀の編纂は国家的な大事業であり、多くの目的を持って編纂されたと考えられる。
  ①対外的目的
     当時の国際社会の中では、国家の歴史書を持つことは必要不可欠なものであった。
  ②国内的目的
     皇室や各氏族の歴史上での位置づけを行うこと。

この様に極めて政治的な色彩の濃厚なものである。
編集方針の決定や原史料の選択は、政治的に有力者が主導したものと推測されている。

補足・参照
日本書紀の記述がすべて、真実の歴史を著しているわけではない。
明らかな造作も散見される。
しかし、古代史を検証するためには、最高の文献史料であることに間違いはない。


成立経過
古事記と違い、日本書紀には成立過程、編者を記した序文がない。
続日本紀の記述により、わずかに成立の経緯を知ることができる。
ここでは、書記の記述と諸説を交えてその大まかな流れを述べることとする。

535年 29代欽明天皇即位
540年頃
 欽明朝の頃、旧辞、帝紀の編纂が行われた(津田左右吉説)。


592年 33代推古天皇即位
620年(推古28年) 
     聖徳太子と蘇我馬子が国記、天皇記の編纂を行った。

645年
     乙巳の変で天皇記焼失。
       (国記は焼失を免れたとも言われている。)

673年 40代天武天皇即位

681年(天武10年)
  2月 律令撰修の詔勅。   
  3月 国史編纂の詔勅(川嶋皇子以下12名に対する詔勅)
      「天皇は大極殿にお出ましになり、川嶋皇子・忍壁皇子・広瀬王・竹田王・桑田王・三野王・
       大錦下上毛野君三千・小錦中忌部連首・小錦下阿曇連稲敷・難波連大形・大山上中臣連
       大嶋・大山下平群臣子に詔して、帝紀および上古の諸事を記し校定させられた。
       大嶋・子首が自ら筆をとって記した」


686年 天武天皇崩御 鸕野皇女(後の41代持統天皇)が称制。
691年 持統5年  家伝没収
  8月  古事記、日本書紀の編集に際し、16家、2神社の家伝・系図が没収された。
            (第41代持統天皇、藤原不比等の命?)
    ①神社古文書
       石上神社古文書、大神神社古文書
    ②系図 
       春日氏大伴氏佐伯氏、雀部氏、阿部氏、膳部氏、穂積氏采女氏
       羽田氏、巨勢氏、石川氏、平群氏木(紀)角氏、阿積(安曇)氏、藤原氏、上毛野氏

694年 藤原京遷都

697年 42代文武天皇即位
701年 大宝律令

707年 43代元明天皇即位
711年(和銅4年)
  元明天皇の太安万侶に対する詔勅。
     
     
712年(和銅5年)  古事記3巻完成
  古事記序文(天武天皇の詔勅)    「撰録帝紀 討覈舊辭 削僞定實 欲流後葉」
     帝紀を撰録し、旧辞を討覈して、偽りを削り実を定めて、後葉に流(つた)へむと欲(おも)ふ。
     そして稗田阿礼に「帝王日継」と「先代旧辞」を誦習させた。

713年(和銅6年) 風土記編纂

714年2月(和銅7年)
  戊戌、従六位上紀朝臣清人、正八位下三宅臣藤麻呂に詔して、国史を撰せしめたまふ。

716年 44代元正天皇即位

720年(養老四年) 日本書紀完成
  5月 「先是一品舎人親王奉勅修日本紀 至是功成奏上 紀卅卷系圖一卷」

  「以前から、一品舍人親王、天皇の命を受けて日本紀の編纂に当たっていたが、
   この度完成し、紀三十巻と系図一巻を撰上した」


書名について
もとの名称が『日本紀』だったとする説と、初めから『日本書紀』だったとする説がある。

1:日本紀とする説
続日本紀に、「書」の文字がなく日本紀と書かれていることを重視する。
さらに日本書紀に続いて編纂された続日本紀、日本後紀、続日本後紀がいずれも書名に「書」の文字を持たないこと。
中国では紀伝体の史書を「」(『漢書』『後漢書』など)と呼び、帝王の治世を編年体にしたものを「」(『漢紀』『後漢紀』)と呼んでいたこと。

2:日本書紀とする説
古写本と奈良時代・平安時代初期のように成立時期に近い時代の史料がみな日本書紀と記していることを重視する。


原資料
国内の記録
 ①旧辞、帝紀、国記、天皇記
 ②墓記-諸氏に伝えられた先祖の記録
 ③風土記-地方に伝えられた物語
 ④その他政府の記録
 ⑤個人の手記
    伊吉連博徳書(いきのむらじはかとこがふみ)、難波吉士男人書、高麗沙門道顯日本世記など
 ⑥有力氏族の家伝
 ⑦由緒

海外の記録
 ①中国の歴史書

 ②朝鮮半島の歴史書(主に百済の歴史書)   
    百済記、百済新撰、百済本記

その他


書記の信頼性
現代の研究では、古事記や日本書紀の記述は、外国資料を参照したと思われる部分を除いて、継体天皇以前の記述は正確さを保証できないと考えられている。



書記の内容
詳細は 日本書紀-B 内容について



書紀編纂時の時代背景等
詳細は後述



参考文献・資料等
「日本書紀(上・下)全現代語訳」  (講談社学術文庫 1988年 宇治谷 孟)
「日本書紀の謎を解く」 (中公新書 1999 森博達著)


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日本書紀について-A   
正史、六国史の第1の書。