伝承・民話(説話・昔話など)について
伝承
伝承とは
ある集団のなかで古くからある慣習や風俗、信仰、伝説、技術や知識などを受け継いで後世に伝えていくこと、もしくは、そのように伝えられた事柄や物を指す。

行為伝承と口頭伝承
  行為伝承
    民俗行事や芸能など、その行為が伝承されていくこと。
  口頭伝承(口承、口碑)
    神話や叙事詩、伝説、民俗語彙など口頭で伝承されるもの。

口頭伝承の種類
  民話・・・伝説・昔話・世間話など
  新語作成、新文句(新句法)
  諺(ことわざ)、謎、唱え言、童言葉
  民謡、語り物などに分類される。


民話
説話(せつわ、民間説話)
近代に造語された言葉で、明瞭な概念規定なしに国文学・民俗学・民族学・神話学などの領域で使用される。
広義には、古くより伝承されて来た話・物語一般を意味する。
しかし狭義には、民話(昔話)、伝説を指す。
また、民話と同義の意味で使用されることもある。

伝説
(でんせつ)
様々な地方で語り伝えられた民話のひとつ。
特に、語り手によって「事実を伝えるもの」として語り継がれたものを言うが、その内容が本当に真実であるかどうかは問わない。
一般的に、地名や遺跡などの由緒を語るものが多い。

昔話
発端句(「むかし」を含むものが多い)と結句(「どっとはらい」など)に代表される決まり文句がある。
また、固有名詞を示さず、描写も最小限度にとどめ、話の信憑性に関する責任を回避した形で語られる。
時代や場所をはっきり示さず、登場人物の名前も「爺」「婆」や、出生・身体の特徴をもとにした普通名詞的である。

世間話
体験談や実話として語られる民話である

神話(しんわ)
説話の一種で、事物の起源や意義を伝承的・象徴的に述べる物語。


説話文学
説話を集めた作品のことを「説話集」と言う。
文学性の備わったものを「説話文学」と呼ぶ。
民間に伝わる話を知識層が文章に記述することよって生まれた。

  758-822年頃   『日本現報善悪霊異記(日本霊異記)』 景戒 - 日本最古の説話集。
  984年        『三宝絵』 源為憲
  1120年頃      『今昔物語集』
  1242年以後    『宇治拾遺物語』
  1252年       『十訓抄』    など


御伽草子
御伽草子(おとぎぞうし)とは
室町時代から江戸時代にかけて成立した、短編の絵入り物語、およびそれらの形式。
広義に室町時代を中心とした中世小説全般を指すこともある。
お伽草子、おとぎ草子とも表記する。


伝承・民話の持つ意義
伝承が発生する意義
長きにわたって語り継がれた口頭伝承にはそれなりの意義が存在すると思われる。
伝承が発生するためには何らかの強い意志が働かなければならない。
その意志を惹起するためには、強い印象を与える出来事、思いなどが存在する必要がある。

伝承が存続する意義
そしてそれらが語り継がれるためには、人々がそれを許容し、語り継ぐべき価値を見いださなければ存続しないと思われる。

伝承の取り扱いについて
伝承の内容がすべて真実という事にはならない。
おそらく、多くは脚色も含めて真実とは程遠いものであろうと推測される。
しかし、それが存続した理由に思いを馳せ、その背景を考えることが歴史研究の一助につながる可能性も否定は出来ないと思われる。


注目すべき説話
浦島太郎
浦島伝説について
筒川嶼子 水江浦島子」という項目に記述がある。
「天上仙家」や「蓬山」が出てくるなど中国渡来の神仙思想が伺える。「水江浦島子」が童話に出てくる浦島太郎である。

伝説概要
筒川の里、日下部首等の先祖に姿容秀美の筒川嶼子という者、即ち水江浦島子がいた。
伊預部馬養連の記したところのものを述べる。
長谷朝倉宮御宇天皇(雄略天皇)の御世、浦島子は小舟に乗り釣りに出た。
三日三晩の間一匹の魚も釣れなかったが五色の亀だけ得る。
奇異に思ったが眠っている間に亀は比べることもなき美麗な婦人と為った。
女娘は問答の中「天上仙家之人也」と己を語る。彼女が眠るように命じ浦島子が目覚めると、不意の間に海中の大きな島に至っていた。
館の門に入ると七人の童子、八人の童子が迎えるが彼らはそれぞれ「すばるぼし」(プレアデス)と「あめふりぼし」(ヒヤデス)だという。
女娘は父母と共に迎え、歓待の合間に人界と仙都の別を説く。
館に留まること三年経ち、浦島子は郷里の事を思い出し、神仙之堺に居るよりも俗世に還ることを希望する。
女娘は別れを悲しみながらも、玉匣(たまくしげ)を渡し「戻ってくる気ならゆめゆめ開けるなかれ」と忠告する。
帰り着いて辺りが変わっているので郷の者に聞くと、浦島子は蒼海に出たまま帰らなかったということにされていた。
玉匣を開くと風雲に翩飛けるような変化が起き、浦島子は涙に咽(むせ)び徘徊する。

  そして、歌を詠む
    「常世邊に 雲立ち渡る 水江の 浦嶋の子が 言持ち渡る」

  神女遙飛,芳音で歌いて曰く
    「倭邊に 風吹き上げて 雲離れ 退き居り共よ 我を忘らすな」

  浦嶼子
    「子等に戀ひ 朝戸を開き 我が居れば 常世の濱の 波の音聞こゆ」

  後世の人歌いて曰く
    「水江の 浦嶋の子が 玉匣 開けず有りせば 復も會はましを」
    「常世邊に 雲立ち渡る 多由女 雲は繼がめど 我そ悲しき」


補足
別の書『古事談』では、「淳和天皇御宇天長二年(825年)乙巳。丹後国与佐郡人水江浦島子。此年乗松船。到故郷」と記され、そのことから帰還まで300年程度経ったと推定される。
出発時の雄略天皇の代がいつなのか確定しがたいが、他の浦島伝説での共通点も踏まえ現世では館での3年より遙かに長い時間が流れていたと伝えられることは確実なようである。


参考
風土記-B:諸国の風土記-丹後国風土記ー浦島伝説へ

羽衣伝説
羽衣伝説とは
日本各地に存在する伝説で、共通点として次のことが挙げられる。
  羽衣によって天から降りてきた天女(てんにょ)
  その天女に恋する男
最古とされるものは風土記逸文として残っており、『近江国風土記』、『丹後国風土記』に見られる。
最も有名とされているのが静岡県静岡市清水区に伝わる三保の松原の羽衣伝説。

羽衣伝説のストリ-
 1:水源地(湖水)に白鳥が降りて水浴びし、人間の女性(以下天女)の姿を現す。
 2:天女が水浴びをしている間に、天女の美しさに心を奪われたその様子を覗き見る存在(男、老人)がある。
   それが天女を天に帰すまいとして、その衣服(羽衣)を隠してしまう。
 3:天女が飛びあがれなくなる(天に帰れなくなる)
     
 ここから近江型と丹後型でわかれる。
    近江型(一般型)
       天に帰れなくなった天女は男と結婚し子供を残す(幸をもたらす)。
       天女は羽衣を見つけて天上へ戻る。
       
    丹後型
       天に帰れなくなった天女は老夫婦の子として引き取られる。
       天女は酒造りにたけ、老夫婦は裕福となる。
       老夫婦は自分の子ではないと言って追い出す。
       天女はさまよった末ある地に留まる。

地方の羽衣伝説
  静岡県静岡市清水区三保の松原 - 昇天型
  滋賀県伊香郡余呉町余呉湖 - 昇天型
  京都府京丹後市峰山町 - 難題型
  千葉県佐倉市 - 昇天型
  鳥取県東伯郡湯梨浜町羽衣石 - 昇天型
  大阪府高石市羽衣
  沖縄県宜野湾市真志喜

鳥取県中部に伝わる羽衣伝説
倉吉の地名の由来、羽衣石城主・南条氏の出自などについて語られている。
鳥取県の中部、東郷湖の南には、その名も「羽衣石山(うえしやま)」という山がある。
その地に羽衣伝説が残っている。

その昔、一人の百姓がこの山の頂上近くを通りかかると、美しい女性が水浴びをしていました。
これを見た百姓は「この美しさはこの世のものとは思えない。
きっと天界に住む天女に違いない。
とすると、あそこに置いてある着物は、天女の羽衣ということか」と、その羽衣を取って隠してしまったのです。
羽衣がないと、天女は天界に帰ることができません。
天女は男に「返してくれ」と頼みますが、逆に説得され、仕方なくその男と結婚し、やがて二人の子どもを生みます。
何年かが過ぎ、天女は成長した子どもたちから羽衣の隠し場所を聞き出します。
羽衣を見つけた天女は大喜び。思わず身にまとうと、今まであった親子の情愛はたちまち薄れ、子どもたち二人を地上に残したまま、天界に帰っていったのです。
母を失った二人は泣き叫びますが、どうすることもできません。
そのとき、母が音楽好きであったことを思い出した二人は、母を呼び戻そうと近くの山に登り、一人は太鼓を打ち鳴らし、一人は笛を力一杯吹きました。
この山が、倉吉市のシンボルとなっている「打吹山(うつぶきやま)」なのです。

豊宇気毘売(トヨウケビメ)と羽衣伝説
古事記では豊宇気毘売神、日本書紀では豊受媛神と表記される。
丹後国風土記逸文には、奈具社の縁起として次のような話が掲載されている。
丹波郡比治里の比沼真奈井で天女8人が水浴をしていたが、うち1人の羽衣を老夫婦が隠してしまったので天に帰れなくなった。
そのためその老夫婦の家に住んでいたが、10年後に家を追い出されてしまい、あちこち漂泊した末に未奈具村に至ってそこに鎮まった。
この天女が豊宇賀能売神(トヨウケビメ)であるという。

参考
羽衣伝説・・・・・「風土記-B:諸国の風土記-丹後国風土記ー丹後国羽衣伝説」へ

豊宇賀能売神(トヨウケビメ)詳細・・・・・「日本の神々-その他ー豊受媛神」へ


桃太郎
詳細は、「鬼伝承」へ

温羅(うら)伝承
詳細は、「鬼伝承」へ

因幡の白兎

鮫先


参考資料


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